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zoom RSS 【おっちゃんの言い分】 2017年/8月編

<<   作成日時 : 2017/08/01 08:03  

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  迷走する防衛体制

 2016年(平成28年)、第3次安倍第2次改造内閣の閣僚人事で防衛大臣に就任した稲田朋美議員が、先月28日、防衛大臣を辞任した。

 そもそもは、小泉純一郎による郵政民営化イエス/ノー総選挙で、小泉チュルドレンの刺客として自民党公認を受け当選した国会議員だが、安倍晋三と共通するコテコテの右翼思想がバッチリ受けて、「将来の総理候補」とまで評した一強・安倍晋三の庇護の下で防衛大臣にまで駆けあがた国会議員だが、その言動については大臣就任前から何かと物議を醸していた。

 中国や韓国からは、「日本を代表する右翼の政治家」という、高い評価を受けている。

 「靖国神社は、二度と戦争を起こさないと誓うための場所ではなく、同じ事が起こったら私達も後に続くという誓いの場所だ」と言い放つ神経の持ち主だから、ある意味(戦前の体制が理想の安倍晋三からすれば)防衛大臣には最適という事だったのだろうが、籠池夫婦(先月末に、詐欺罪で逮捕された)の森友学園問題に絡む弁護士業務や、PKO部隊の「日報」隠ぺい疑惑、7月の東京都議会選挙中の公職選挙法違反ともいえる選挙応援活動等々、政治家として余りにも酷い失態の連続に、世論は辞任を求める声に溢れたが、安倍晋三は頑として大臣続投に固執していた。

 自ら「将来の総理候補」とまで評した寵愛すべき分子を罷免する事は、任命責任を問われるリスクを含めて、絶対に避けたかった事なのだろう。

 7月28日の記者会見で稲田防衛大臣は、破棄したとしていたPKO部隊の「日報」を陸上自衛隊が保管していた問題について特別防衛監察の結果を公表したうえで、「防衛大臣として責任を痛感し、職を辞することとした」と述べ辞任する意向を表明した。

 この中で、稲田防衛大臣は、特別防衛監察の結果について、「防衛省・自衛隊にとって大変厳しい、反省すべき結果が示された。極めて遺憾だ」と述べた。

 また、稲田大臣は、破棄したとされた「日報」が陸上自衛隊に保管されていた事実について、「私自身、報告を受けたという認識は今でもなく、私のこれまでの一貫した情報公開への姿勢に照らせば、そうした報告があれば必ず公表するように指導を行ったはずだ。監察の結果を率直に受け入れる」と述べた。

 更に、稲田大臣は「日報をめぐる一連の問題は、防衛省・自衛隊の情報公開に対する姿勢について国民に疑念を抱かせ、内部からの情報流出を匂わせる報道が相次ぐことにより、防衛省・自衛隊のガバナンスについても信頼を損ないかねない印象を与え、極めて重大かつ深刻なものだ」、「防衛省・自衛隊を指揮・監督する防衛大臣としてその責任を痛感している。防衛大臣としての職を辞することとした。先ほど、安倍総理大臣に辞表を提出し、了承された」と述べた。

 一方で、みずからの辞任による防衛省・自衛隊の北朝鮮対応への影響について、「北朝鮮のミサイル問題は、昨年来、新たな段階に入っている。防衛省、自衛隊としては万全の警戒監視活動を続けており、支障がないと思ってる」と述べた。

 今回の辞任劇で、マスコミも世論も森友学園問題に絡む弁護士業務や、PKO部隊の日報隠ぺい疑惑、7月の東京都議会選挙中の公職選挙法違反ともいえる選挙応援活動等々を、大臣としての資質不適格の要因として同列に列挙して「辞任は妥当」の評価をしていて、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の「日報」問題に関する特別防衛監察をめぐる衆院安全保障委員会の閉会中審査について、自民党の竹下亘国対委員長は31日午前、民進党の山井和則国対委員長に電話し、同党が求める稲田朋美前防衛相の参考人招致を拒否する考えを伝えた事も、「しょうがないな〜」的ニュアンスで伝えるだけで、北朝鮮の核ミサイルがアメリカ・ワシントンまで射程に入りそう(実際は入ったかも・・・)危機に直面している今、防衛庁/自衛隊内に起こっている危機鈍感なのが“おっちゃん”はメッチャ気になる

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   【おっちゃんの言い分

 「PKO部隊の日報、有りませんでした」事件は、森友学園疑惑や加計学園疑惑とは、比べものにならない程、日本国全体にとって深刻な問題だ。だから“おっちゃん”は、敢えて「事件」と云う。

 勿論、首相がさりげなく匂わせた盟友への便宜供与希望を、役人が勝手に忖度してイリーガルな行政を行ったとしたら、国民が法の下で平等に競争する権利を侵しているし、全てが税金で(国税だろうと地方税だろうと・・・)賄われる以上、決して有耶無耶にして良い話ではないが森友学園疑惑や加計学園疑惑によって、日本国民の生命、財産が脅かされる様な話ではない

 一方の「PKO部隊の日報、有りませんでした」事件は、ひとつ間違えれば(もう、間違っちゃたんだけど)自衛隊の機能が麻痺するか逆に暴走しかねない、危険な「不安定な統制力」を如実に示した事例だ。

 事件の全容は、“おっちゃん”の独断的分析によれば極めてシンプルなストーリーだ。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の前線部隊が、毎日の行動、情勢を日報で記録し防衛省に報告していた。

 日本国民が何と言おうと、世界の常識では自衛隊は軍隊であり(自衛隊員は、当然そう理解していると思う)、その軍隊が外国の紛争地帯で国連平和維持活動をしている訳だから、遠く離れた日本にいる防衛省司令部、その上の防衛大臣、その上の「最高総司令官」である総理大臣にとって、部隊の日報だけが唯一の生情報であり、明日の行動、戦略、戦術を決める為の最重要情報であって、これ無くしては派遣部隊の一挙一動を何一つ決められないと言っても過言ではない。

 その日報で、現地部隊は自分達の周辺は「戦闘状態」であると記録し防衛省に送った事がこの事件の根底だ。

 現地部隊としては、自分達の周辺は「紛争状態」ではなく「戦闘状態」であると報告する事で、自分達の置かれている状況を、防衛省、政府に正確に把握してもらう必要があり、「戦闘状態」の中で活動している以上、その先で何が起こるかの「リスクの可能性」についても、政府に責任を持ってもらわねばならないから、日報の一字一句には重要な意味がある訳である。

 南スーダンでは今も政府軍と反政府軍との戦闘が止まずに、2016年7月には約300人の死者が、自衛隊の宿営地からわずか100メートルの距離で銃撃戦が断続的に続き、流れ弾の弾頭が宿営地内で見つかったことも判明している。

 一つ間違えば自衛隊員に死傷者が出てもおかしくなく、出ていないのは「単なる幸運」とも言える。現地自衛隊員は日本国内では感じたことの無い「戦死の可能性」の恐怖を、初めて感じているのでは・・・。

 そもそも、自衛隊員の多くは「服務の宣誓」の「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする」を胸に、純粋に国防に尽くす気概で任務に就いているが、帰属する自衛隊そのものが、憲法上あやふやな位置付けにある事からくる国民との間の微妙な距離感や、例え専守防衛のみであろうとも「軍隊」である事が未だ認知されていない事への「肩身の狭さ」的コンプレックス等がミックスされて、発足以来70年間悶々とした状態での「武装実力部隊」がついに転換期を迎えたとも言える。

 安倍政権になってから、「集団自衛権」の確立、新安保関連法による「駆けつけ警護」の付与などが可能になったが、PKO協力法にある「参加5原則」では、紛争当事者間の停戦合意の成立が条件のひとつとなっているが、ジュバの大規模戦闘などを見ても明らかなように、政府軍と反政府軍の停戦合意は事実上崩壊している。

 しかし、これまで日本政府は、この「停戦合意」は"南スーダンがスーダンから独立した際の合意である"という屁理屈で、無理やり南スーダンPKO参加を正当化してきた手前、南スーダンは現状「停戦中」であり、そこで「戦闘行為」は行われていては困る事だった。

 長年、憲法9条上から言えば自衛隊は違憲状態であるが、国民との間で微妙な関係を築きながら、暗黙の認知を受けている事を70年間耐えてきている自衛隊が、憲法、自衛隊法、新安保関連法上、「戦闘状態」、「戦闘行為」という言葉がどのような意味を持つかは、国民の誰よりも、政治家の誰よりも承知している集団だから、現地部隊からの「戦闘状態」という文字を含む日報の扱いには、日報受領の瞬間から一瞬で省内に緊張が奔ったはずだ。

 自衛隊は違法だという人々も、自然大災害などの救援が必要となれば自衛隊の派遣を切望するし、万一北朝鮮による突然のミサイル攻撃や10万人はいるという特殊部隊による攻撃などがあれば、忽ち「自衛隊何とかしろ!、自衛隊は国民の為に戦え!」と叫ぶはずだ。

 それにも拘らず、太平の眠りの中では自衛隊は控えめに、控えめに日夜専守防衛の国防に徹している訳で、実際南スーダン国連平和維持活動(PKO)中の陸上自衛隊が戦闘に巻き込まれても、諸外国の軍隊の兵士のように、兵士個人の判断で応戦する事も許されていない

 上官の発砲命令なしに応戦して、万一逸れた弾で殺傷した相手が民間人だったとして、相手国から非難された場合、忽ち日本国内の自衛隊違憲論の絶好の例示にされてしまうだけでなく、隊員が業務上過失致死や殺人罪に問われる可能性さえある。日本の場合は・・・。

 諸外国の軍隊なら、第三者から攻撃された場合の兵士の行動は全て国の責任として対処し、外交問題として国対国での解決問題とされて、兵士個人が矢面に立たされる事はない。そうでなければ兵士はやってられないし、日頃から躊躇わず行動するように訓練されている。

 我が国の自衛隊員で、敵を銃撃したり殺傷した経験者はゼロである。敵機、敵艦に対して射撃をした経験のある自衛隊員もゼロ

 多分、兎や狐、猪や熊も撃ったことがない隊員が殆どだろう。幾ら固定された的を射ぬけても、生きている兎や狐は相当経験を積まないと滅多に仕留められないという

 まして、生身の人間を相手に、殺さなければ殺されるとは頭で理解していても、人を殺す事になるであろうとは夢にも想像していなかった自衛隊員(ほとんどがそう思っているはず)が、アメリカ軍の兵士の様なアクションを躊躇なく起こせるとは思えない

 そのような隊員で構成されるPKO部隊にとって、現場が「戦闘状態」であるという事は、組織のトップに対して重大な情報であり、これを無視されてはそれこそ命に係わるだけでなく、服務の宣誓の高尚な理念での行動にも係わらず、犯罪者にされ兼ねないあやふやな存在である事を自覚している防衛省としては、彼らの独断で「無かった事にする」事など考えられない。

 憲法と実態との狭間で70年間組織を守ってきた防衛省、自衛隊にとって、現地が「戦闘状態」であるとの報告がどのような意味を持つかは、政治家以上に敏感であり慎重であって、陸上幕僚監部の独断で重大情報の「日報」を無かった事にするなど有り得ないし、もしそれを実行したとすれば「シビリアン・コントロール」を無視した、自衛隊一部組織による一種の「クーデター」になってしまう。

 集団自衛権を曲解し、アメリカとの共同軍事行動に限定してのみ運用すれば良いと考えている安倍首相と多くの政治家(国民の多くは戦争は無いと考え、景気が良くなりさえすれば、どうでも良い問題)は、チャンスがあれば、スーダン国連平和維持活動(PKO)中の陸上自衛隊が新安保関連法による「駆けつけ警護」まで実践してくれて、小規模の戦闘実績を既定事実にしたいくらいでいる処に、PKO協力法にある「参加5原則」では、紛争当事者間で戦闘が実在するとなれば、自衛隊のスーダン派遣そのものが違憲となり、即撤退を余儀なくされる事となり、安倍内閣の目算が根底から覆される。

 その事を十分承知している防衛省、自衛隊上層部が、この「日報」の持つ重大性から、それなりのルートで官邸の意向を打診し、最終的に「日報」が無かった事にする結論になったとしても何ら不思議ではない。

 しかし、ロシアの諺に「3人で秘密を守る最良の方法は、2人を殺す事」と云うのがあるが、正にその通りで、防衛省、自衛隊内にも「日報が無かった事にする」事に反発する勢力があって、「日報」のコピーは、野党、マスコミの手に渡って、国会でその真相が追及される事となった。

 「日報」の存在がリークされたのが、防衛省、自衛隊内の正義感からとは必ずしも言えない

 あらゆる組織には権力闘争が存在する。

 企業なら社長派と専務派、警察なら署長派と副署長派、学校に校長派と教頭派、学校内でも子供社会での権力闘争が存在し、地位や名誉や富を限りなく求める欲望を捨てられない人間がいる限り続く普遍の構造で、防衛省、自衛隊内にも時の政権や組織トップの寵愛?を受けている組と、それを不満として権力奪回を画策する冷や飯組がいても不思議ではない。

 勿論、PKO派遣部隊の隊員の安全を脅かすような、事実の隠蔽に義憤を感じての、内部告発的行動だったかも知れないが・・・。

 いずれにしろ、官邸と防衛省間で「戦闘状態」を伝える「日報」の存在は闇から闇に葬られるシナリオが出来上がったのだろうが、この間稲田防衛大臣はどうやら蚊帳の外だったようだ。

 本来なら自衛隊内に問題があれば、それが部隊の実行動だろうと日報の内容だろうと、組織図の命令系統通りに、幕僚長から防衛省黒江事務次官に、事務次官から防衛大臣に、防衛大臣から首相へとお伺いが立てられるべきだが、どうやら何故か黒江事務次官が官邸と幕僚長との間での仕切り役を担って、「日報」の処理が進んだようだ。

 稲田防衛大臣が蚊帳の外で、重大な事案が処理されていたのには、防衛省内のそれなりのロジックがあったはずで、一言で言えば彼らにとって稲田防衛大臣は「全てを報告したり、指示を仰ぐに値しない上司」と見做されたという事だ。

 古今東西軍人程、己の上官の資質を見抜き取捨選択する能力に長けた者達はいない。何故なら、愚かな上官に従っていたら、戦場で自分が命を失う事になるからだ。

 戦前の旧日本帝国陸軍でも兵隊は、無能な上官には正確な情報など流さない。

 下手に情報を与えて阿呆な命令でも下されたら、命が幾らあっても足らないからだ

 それでも、手におえない阿呆な上官は、敵との戦闘中の戦場で後ろから味方に撃たれて名誉の戦死となった。

 「背中から撃たれないようにしろ」は、旧日本軍では常識的な諺だった。

 防衛省、自衛隊が、稲田防衛大臣の日頃の言動から最高司令官としての資質にNOを出していたとしたら、大臣をバイパスする知恵など朝飯前の事だろう。そのくらいでなければ、いざという時に敵と戦えないだろう

 こうして「日報」は国民の目や耳に入る事なく消えてしまうはずだったが、事態は2016年9月に一変した。

 「駆けつけ警護」を可能とした新安保法成立(2015年9月)後の2016年7月に南スーダンで大規模な戦闘があった事が世界的に報道され、ジャーナリスト・布施祐一氏が現地自衛隊の状況を知るために2016年の9月に「日報」の情報公開請求を防衛省に求めたところ、情報公開室よりに2か月以上経った12月に「既に廃棄して不存在」という回答が出てきた事で、国民も「日報」に関する何らかの異常性を感じ出した訳だ。(布施祐一さんてっ、偉いね!)

 同省統合幕僚監部の担当者は、廃棄の理由について「上官に報告した時点で、使用目的を終えた」と説明。

 これ以外の「日報」も、紙や電子データを含め、同様に廃棄している」という説明には、いくら平和ボケした日本国民も???となってきた。

 情報公開室の、誰が聞いても眉唾な「不存在」発表に、布施祐一氏のツイッターによる公文書保存期間への疑問提起などで、世間もやっとこの問題に関心を寄せ出した。(本当に、布施祐一さんてっ、偉いね!)

 するととうとう、政府関係者の中には「日報は単なる、隊員の個人メモであり、公文書でもなく記述の真偽も定かでない」などと、自衛隊の海外行動の実態と詳細を伝える最重要な「業務日報」を、単なる個人メモ扱いするというビックリ詭弁まで飛び出し国民の目を誤魔化しに躍起となって、まるで戦前の日本の様だが安倍晋三にすれば、何ら違和感のない話なのかもしれない。

 旧大日本帝国の大本営は、無謀な戦線拡大で補給線が延び切った南方最前線の各地部隊からの真実の戦況報告を黙殺し、武器弾薬、食料、医薬品の補給もせずに最後の一兵まで死守せよ」という、人間を虫けらとしか思っていないような命令を遠く離れた安全な東京から打電しているだけだったが、前線兵士の声を無視する点では安倍内閣も変わらない

 中国、東南アジア、南方諸島の前線部隊からの切羽詰った報告にも、大本営作戦の批判とも見做され、果てには「根性の無い、帝国軍人に有るまじき軟弱な司令官」と叱責する始末で、頭に来た前線部隊司令官の中には、英語に直せば「Fuck you !」と同じような電報を大本営に打電をして玉砕していったケースもあった。

 マスコミ、野党も騒ぎ出し、稲田防衛大臣が倒幕に「日報」の存在の再調査を命じたら、12月26日、何故か「日報」の電子データが防衛省の統合幕僚監部に残存していたことが確認された。

 情報公開室の発表との整合性を繕う為だろうか、「破棄したのは陸上自衛隊」という説明が附帯されたが、ひとつ嘘をつくとその嘘を繕うための嘘を重ねざるを得なくなっていく訳だが、日本の国防を担う軍隊組織の方々は、万全の作戦を苦手とするらしく、継ぎはぎだらけの迷走が始まった

 稲田大臣から存在の再確認を指示された統幕が、電子データを確認した12月26日から約1カ月間、なぜ稲田氏に報告しなかったのかについて統幕は、「派遣部隊との事実関係の確認や不開示部分の調整などに時間がかかった」などとハチャメチャな説明に終始。

 実際には陸幕にもデータはあり(当たり前だ。最初から大事なデータとして保管されていなければ軍隊じゃないもの)1月下旬には、統幕統括官 辰巳昌良氏は、陸自内でのデータ保管を把握していたが稲田防衛大臣には報告はしていなかった。

 何故報告しなかったかは、“おっちゃん”説によれば、阿呆な上官には結果だけ報告するのが得策だからだ。

 2月6日、事此処に至って流石の防衛省も堪らず、「日報」の一部を黒塗りで公開したが、世間はマスコミを通じて、「日報」に「戦闘状態」という記載の有る事を、とっくに知ってしまっていた。

 2月9日、民進党 玉木雄一郎衆院議員が、陸自のデータを削除したシステムの記録を開示するよう迫る

2月13日、玉木雄一郎衆院議員の開示要求を受けて、統幕総括官 辰巳昌良氏から「事ここに至り、陸自から直接、大臣に話をして欲しい」と促し、陸幕副長 湯浅悟郎陸将らが防衛大臣室で稲田防衛大臣に日報のデータ保管に関して説明

 陸上幕僚長 岡部俊哉陸将らが、日報のデータ保管を前提に、昨年10月の情報開示請求にどう対応してきたかなどの経緯を稲田防衛大臣に説明

 「実は陸上自衛隊にも日報データが保管されていた」という事実を非公表にする方針が稲田防衛大臣に示したと陸幕長筋は主張

 2月15日、陸上幕僚長 岡部俊哉陸将らが、日報のデータ保管を前提に、昨年10月の情報開示請求にどう対応してきたかなどの経緯を稲田防衛大臣に説明したと報道され、その際、説明を受けた稲田大臣は何ら発言をしなかったが、説明側は無言自体が報告を了承したものと解釈したという生々しい情報や、「大臣は、説明の内容が理解できなかったので無言だったのだろう」という、聞くも悲しいいお粗末防衛大臣像まで浮かんできた。

 3月16日稲田防衛大臣は、「報告されなかった」と国会で答弁。

 7月25日、参院予算委の閉会中審査において、稲田防衛大臣が「隠蔽や非公表を支持する事はあり得ない」と改めて関与を否定した。

 防衛省・自衛隊内で、部下は「報告した」と言い、トップの大臣は「聞いてない」という、怪しげで心もとなない進展に世論が騒がしくなり、防衛省は防衛監察本部による特別防衛監察を行う事になった。

 7月28日、特別防衛監察の結果を公表した。

 「日報」を非公表とする判断に稲田朋美防衛相が関与していたかが焦点だったが、報告書は「公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実はない」とし、稲田氏の関与を認定しなかった。

 黒江、岡部両氏は監察結果と処分が出たことを踏まえ、辞任する事になった。

 報告書は、稲田氏が2月13日に陸自幹部らから、同15日に黒江、岡部両氏らからそれぞれ日報問題について説明を受けた際、「陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」と記した。ただ、日報データの存在が書面で報告されたり、非公表の了承を求める報告が行われたりした事実はなかったとした。

 防衛監察本部によると、監察の過程で、陸自は稲田氏に日報の保管を報告したと複数が主張したものの、稲田氏を含む数人がこれを否定し、証言が一致しなかったという。

 報告書は、昨年7月と10月の日報に関する情報公開請求をいずれも不開示とする一方、12月に当時の陸上幕僚監部運用支援・情報部長が廃棄するよう示唆したと認定。今年1月中旬に陸自内に日報のデータが残っていたことが判明したが、黒江氏が「防衛相に報告する必要はない」と判断したと結論付けた。 

 陸自側は大臣に報告したと言い、大臣側は聞いてないという結果を併記した形で、観察報告終わり!ってんだから、国民からすれば「特別防衛監察」なんて屁の突っ張りにもならない調査機関でしかない。
 
 そもそも、「特別防衛監察」というのは、省内の事件、不祥事の真相究明のため、当事者、関係者を尋問、聴取、調査などを行う権限を持った部門で、TVドラマでも良く「警視庁監査部」とか、「米国防省監査部」(本当にあるのかどうかは・・・)が、正義感の塊みたいな主人公に嫌がらせの監査で、事件を闇に葬ろうとするストーリーがあるが、防衛省の「特別防衛監察」って、組織上は防衛大臣より下の組織で、防衛大臣の命令で動く立場に位置しているので、そもそも防衛大臣を尋問する事が必要なら出来るはずであっても、組織命令系統上は大臣自身が「私の、尋問は不要!」と命じれば“The End !”って組織になっているので、徹底解明など鼻っから無理な相談の組織なのである。

 陸自幹部は大臣に「報告済み」と言い、大臣は「知らぬ」という。

 国家防衛上の命運を握る組織内で、軍事上の重要な日報に関する供述が180度異なる。

 米国なら当然議会での宣誓・公聴会に引っ張り出される話で、日本なら国会における証人喚問がそれに当たるが、そのような気配は皆目ない。

 徹底的解明、糾弾は、農耕民族「日本人」の尤も嫌うDNAであり、この点で世論が紛糾する事はない。

 こうして、「日報」問題の情報は、真夏の盆休みによる民族大移動の渋滞情報に上書保存され、記憶の彼方に去っていくかも知れないが・・・。

 「日報」に記載の「戦闘状態」についても、政府、防衛省は稲田防衛大臣を前面に、「戦闘状態」でなく「武力衝突」だという、スタンスで押し通してきている。

 稲田防衛大臣は2月8日、「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と発言し、これには流石に無関心の世論も反応し大きな批判を浴び、野党からは辞任要求まで飛び出した。

 然しながら、馬鹿殿を支える悪徳家老役の菅義偉官房長官は2月9日の会見で、「政府としての認識を説明しているものであり、辞任といったような指摘は全く当たらない」とし、稲田防衛相を擁護した。

 「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」のは、政府としての認識だ!と明言して憚らないのにもビックリだが、それでスル―してしまえる日本って、怖い。

 何故怖いかと言えば、前線の兵士が「戦闘状態」と報告しても、国民の反発を招くので「武力衝突」という言葉しか使いませんというのは、万引きで裁判にかけられた被告の弁護士が、「“万引きをした”と言うと法に触れるので、“間違ってポケットに入れた”と申し上げます」と、法廷で堂々と発するようなもので、「政府も、稲田朋美も、大丈夫かよ?」と独り言がでてしまうほどで、「稲田朋美って、本当に弁護士資格もっていたの?」と疑い100%。

 旧日本軍・大本営が、南方前線からの敗退・撤退を「他方面への転進」と称した体質から全く進化せず、世論の反発で追い詰められたら、防衛事務次官と陸上幕僚長に辞職してもらって「責任を取った」形を作って事態収拾完了とする政府の、一風変わった「シビリアン・コントロール」には呆れるが、“おっちゃん”が呆れている分には余り実害はないが、防衛省・自衛隊内で「呆れられる」度合いが進むと怖い仮説が考えられる。

 「服務の宣誓」を胸に、日本国の防衛に命を懸ける心がけで日夜努めている「武装実力集団」が、誠実な任務遂行上の報告を、曲解され、違約され、無かった事にされ、ひいては自分達の組織トップだけが[トカゲの尻尾]として切られていく現状を目の当たりにして、現在の政府や制度に限界を感じて「自分達の力でなければ、国家を変えられない」という発想に行き着き、かつての2.26事件のような事態、即ち「自衛隊によるクーデター」の種を撒いたような、不気味な怖さが芽生えたと感じる。

 余りにも愚かな政治家と、余りにも賢い軍人がいた時クーデターの種は芽をふかないとは言えない

 幸いにして、自衛隊は70年間サラリーマン軍隊的教育が徹底されてきた事と、実際に敵国民に(まして、自国民になど)銃を構えた事も、発砲した事も24万自衛隊員の誰一人経験がない事からも、クーデターの発想そのものが無いとは思うが。(1970年(昭和45年)の三島由紀夫の“市ヶ谷駐屯地事件”でも、自衛隊はクーデターには無縁と証明済みか

 対北朝鮮問題が切羽詰まってきている昨今、防衛・軍事のみならず政治全般に未熟な人間を国防のトップに置いていたリスクが、辞任によって少しは取り除かれた事は、日本国民にとって幸いだ。

 でも、今回政府が撒いたクーデターの種は、乾いて腐って土に帰るのだろうか? 

 それとも新たな水を吸って、小さな、小さなが・・・。

 

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